LocalTubeMemo.
// 動画のメモに、時刻を持たせる
LocalTubeMemo は、Picolas が個人で開発・運営している、YouTube の動画を見ながらメモを取るための道具です。 このページは操作説明ではなく、なぜメモに再生時刻をひも付ける形にしたのかを運営側から書いたものです。 機能の一覧や実際の書き心地は本体側で確かめられるので、先に試したい方はそちらへどうぞ。
「あの説明、どこだったっけ」を毎回やっていた
きっかけは、動画で技術を学んでいたときの、ごく地味な不便でした。 1 時間の解説動画を見ながらメモアプリに要点を書いていく。ここまでは普通です。 問題は後日、そのメモを読み返したときに起きます。 「ここは動画で図を見ないと分からない」と書いてあるのに、その図が何分何秒だったのかが分からない。
結局シークバーを行ったり来たりして、10 分近く探すことになります。 本を読んでいるなら「あのページの右下」という記憶が働きますが、動画にはページがありません。 手がかりになるのは再生時刻だけなのに、メモの側にはその情報が落ちていませんでした。
手で時刻を書けばいい話ではあります。実際しばらくそうしていました。 ただ、聞きながら「いま 23 分 40 秒だな」と確認して打ち込むのは、思っていた以上に集中を削ります。 その数秒のあいだ、話は先に進んでいます。 時刻の記録は人間がやる作業ではなく、機械が勝手にやるべき作業でした。
メモを取る作業を邪魔せずに、後から動画の該当箇所へ戻れるようにする。 LocalTubeMemo がやっているのは、突き詰めるとこれだけです。
時刻を「打つ」のではなく「拾う」
動画とメモ欄を同じ画面に並べて、キー操作ひとつでそのときの再生時刻をメモに差し込む形にしました。 入力欄から手を離さずに済むので、聞きながら書く流れが途切れません。 差し込まれた時刻はただの文字ではなくリンクとして働き、後から押せばその場面から再生されます。
この一点が決まると、他の機能も自然に決まりました。 聞き取れなかった箇所を繰り返すための区間ループ、 淡々とした解説を速く流すための再生速度の調整、 言葉にしづらい画面を残すためのスクリーンショットの貼り付け。 どれも「その場面に戻る」という一つの動作を軸にした派生です。
メモは端末の中だけに置く
書いたメモはすべてブラウザ内のデータベース(IndexedDB)に保存していて、サーバーへは送っていません。 Picolas 共通の方針でもありますが、この道具の場合はもう一つ実利的な理由があります。 学習中のメモは、他人に見せる前提で書かれていないということです。
分からなかった箇所、勘違いしていた点、業務の固有名詞、社内の事情に紐づくメモ。 清書された知識ではなく、途中の思考がそのまま残るのがこの種のメモです。 それを預かる理由が私の側にありません。預からなければ、流出のさせようもありません。
アカウントを作らせない
保存先が端末内なので、そもそもアカウントに紐づけるデータがありません。 「まず登録してください」の一画面を挟まずに、開いた瞬間から書き始められます。 動画を見ようと思ってから実際に書き始めるまでの摩擦は、少ないほどいいと考えています。
入っているもの
機能を増やしすぎないようにしていますが、 「その場面に戻る」という軸から外れないものだけを残した結果が以下です。
書き出せることを、機能として重く見ている
機能一覧の中で、地味なのに一番こだわっているのが JSON での書き出しと読み込みです。 理由は、端末内保存という設計が抱える弱点の裏返しだからです。
メモがサーバーにないということは、バックアップも同期も自動では行われないということです。 ブラウザのデータを消せばメモも消えますし、PC で取ったメモがスマホに現れることもありません。 クラウド前提のサービスなら勝手にやってくれる部分が、この設計では利用者の手に残ります。 その代償を無視して「ローカル保存だから安心です」とだけ言うのは不誠実だと思っています。
だから書き出しは、おまけの機能ではなく設計上の必需品として置いています。 自分のメモを、いつでも自分の手元にまるごと取り出せること。 端末を買い替えるときも、この道具を使うのをやめるときも、メモは持っていけます。
サービスを乗り換えようとしたときにデータが取り出せず、諦めた経験のある人は多いはずです。 利用者が離れにくくすることで継続してもらう作り方は、私が個人で運営する道具には合いません。 いつでも出ていける状態にしておいて、それでも使われるなら本当に役に立っている、という判断のしかたのほうが健全だと考えています。 PDF での出力を用意しているのも同じ発想で、ツールを開かなくても読める形が一つあると安心して使えます。
効く場面と、そうでもない場面
後から同じ箇所に戻る必要があるほど有利になり、一度見て終わりの動画では意味がありません。 具体的には、こういう使い方を想定しています。
- オンライン講義や技術チュートリアル。手を動かしながら見るので、止めて戻る回数が多い用途です。
- 会議やセミナーの録画。発言者と時刻を紐づけておくと、議事録の裏取りが一瞬で済みます。
- 語学の学習。区間ループと速度調整、そして聞き取れた内容のメモが一画面にまとまります。
- リサーチ。複数の動画から根拠になる箇所を集める際、タグを付けて横断的に引けます。
- 楽器やスポーツの練習。特定の数秒を繰り返し見ながら、気づいた点をその場に残せます。
逆に、娯楽として流し見する動画や、二度と戻らない動画には向きません。 メモを取るという行為自体がコストなので、後で参照する見込みがあるときだけ使うのが正しい使い方だと思います。
Local Suite の中での役割
Picolas では「データを端末から出さない」という一つの方針で、用途の違う小さなアプリを個別に公開しています。 その中で LocalTubeMemo が担当しているのは動画から得たことを書き留めて、後で引ける形にしておく工程です。 ファイルを扱う他のプロダクトとは対象が違いますが、 「利用者の生成物を預からない」という点では同じ考え方で作っています。
隣接する道具としては、やることを管理する LocalMyTask、 調べた手順を残す LocalFlow があります。 どれも独立したサイトなので、必要なものだけを開けます。
よくある質問
メモはどこに保存されますか?
お使いのブラウザ内のデータベースに保存されます。サーバーへは送信していません。そのため、ブラウザの保存データを削除するとメモも一緒に消えます。大事なメモは JSON で書き出しておくことをおすすめします。
PC で取ったメモをスマホでも見られますか?
自動では同期されません。保存先が端末内であるためです。JSON で書き出して、もう一方の端末で読み込む形になります。書き出したファイルを端末間で渡すには LocalTransfer が使えます。
アカウント登録は必要ですか?
不要です。サーバーに保存するデータがないので、アカウントに紐づけるものがありません。開いてすぐ使えます。
動画そのものはダウンロードされますか?
されません。動画は YouTube の再生機能で再生しているだけで、保存する仕組みは持っていません。保存されるのはあなたが書いたメモだけです。
スクリーンショットを使う際の注意はありますか?
動画の内容には制作者の権利があります。自分で見返すための記録として個人の範囲で使ってください。書き出したメモを配布・公開する場合は、その扱いをご自身でご確認ください。
無料ですか。
無料です。メモを預からない構造のためサーバー費用がほとんどかからず、有料プランを設ける必要がありません。
これから
LocalTubeMemo は個人で運営しているため、更新のペースは大きくありません。 優先しているのは機能を足すことより、メモが増えたときに崩れないことです。 この種の道具は、数本のうちは何でも快適で、数百本たまってから検索や整理の弱さが出ます。 そこに耐えるほうが、新しい機能より価値があると考えています。
使ってみて不便だった点や、こういう学び方をしているという話があれば Picolas のお問い合わせから送ってください。